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30分ほど車は走り続け、着いたのは閑静な住宅街。
こんな普通なところに拠点が?
拠点と言うにはあまりにも似つかない場所に着いたことに驚きを隠せずにいると、前にいる2人は笑った。
「これが拠点とか意味分かんないよね〜」
「わざと分からないようにしてるからね」
トランクから荷物を取りだしながら言う2人に、そういうものなのかとひとり納得していると目の前にある一軒家の玄関が開いた。
恐る恐る中に入ってみたが、中も外見と変わらず普通に家具が置いてあったり雑貨があったりと生活感が垣間見える。
「こことか2階は普通に生活スペースだよ〜ほんとの拠点はこっち!」
Broooockさんに手招きされた方に行ってみるとそこには大きな本棚。
Broooockさんは慣れた手つきでいくつかの本を手前に倒していくとカチッという音が本棚から聞こえた。そのまま本棚を動かすと地下へ続く階段が現れた。
「凄い…映画みたい…」
「だよね〜僕も思うもん」
「結構暗いんで足元気をつけて」
壁に付いている手摺を掴みながら階段を下ると、そこにはコンクリートが打ち付けられた空間が広がっていた。真ん中には大きな円形のテーブルがあり上には色々なことが書かれた紙や地図などが散乱している。
本当に映画のみたいな展開に言葉が出なくなる。
「あ、きりやんとBroooock帰ってきた」
暗闇の奥からパンダのパーカーを被った人物が急に出てきて、腰が抜けそうになる。今の発言を聞く限り、この人物もきりやんさんの仲間なのだろうか。
「そこの女の人、きりやんが言ってた人?」
先程の少し高い声とは違い、ドスの効いた低い声。
なにか弁明した方がいいのだろうか、そう思い声を出そうとするときりやんさんに止められた。
「そんな威嚇しないの。俺人目を見る目だけは確かなんだから」
きりやんさんがそう言うと、パーカーの人は不服そうにしながらも大きなテーブルを囲っている椅子のひとつに座った。
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作者名:葵 | 作成日時:2024年3月12日 0時