. ページ13
.
『…キヨ？』
「さっきな、怪我したやつが居て。」
『…うん。』
「そいつ、次の大会出る為に
誰よりも猛特訓してたんだ。
でもさっき、歩けないくらいに
足、捻っちまって。」
キヨは俯きながら私に淡々と話した。
「救急車に運ばれて…」
眉を下げて無気力な表情で続けた。
「俺のせいなんだ。」
『え…？』
「みんなは違うって
言ってくれるんだけど、
俺が悪いんだ。」
『キヨが怪我させてしまったってこと…？』
「俺が遠くの仲間に向かって
蹴るつもりだったボールを
相手チームのやつが遮ろうとして
足同士でぶつかったんだ。」
『それで怪我を…？』
「いや、その時よろけてしまって、
捻った状態で着地してしまって。
多分、靭帯まで…
損傷してるんだと思う。」
何も言えなかった。
キヨが悪気があって
やった訳では無いのはわかってるし、
反省してるのもよくわかる。
でもまだそんなに関係性が
深く築けていない内に
うまく励ませる自信がなかった。
「俺が…あの時蹴らなければ…
周りをもっと見れていたら…。」
額に手を当て、目を充血させている。
「アイツ、あんなに頑張ってたのに
大会出れねぇかも知れないんだぜ。」
しばらくの間、沈黙が流れて
キヨは無理やり笑顔を作って口を開いた。
「ごめん、こんな話しちゃって。」
『ううん。でも…
悪気があった訳じゃないでしょ。』
「それは…」
私は無意識に彼の頭へ手が伸びていた。
『よしよし。
悔しいよね、辛いよね。
でも…そんなに自分を責めないでね。』
「っ…。」
キヨは後ろを向いて鼻をすする。
「ありがと…。」
『いいえ。あ…私居ない方が…？
一人になりたかったかな？』
何も返事が無いので
そっとその場を離れようとした瞬間_____
「行かないで。」
ぎゅっと掴まれる手首。
『え、あ…ごめん…』
「もう少しだけ、一緒に居て。」
掴まれたままの手首から
頼りにされている嬉しさを感じつつ、
何も言わずにしばらくは
彼の隣に居ることにした______
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆゆ(プロフ) - みやさん» みや様♡本当にありがとうございます(T . T)ご期待に応えられるよう頑張りますので、是非今回も最後までお付き合い頂けたらと思います！(_ _) (3月1日 20時) (
レス) id: 6fdc3e229f (このIDを非表示/違反報告)
みや - 今作も楽しく見させてもらってます！続きも楽しみです( ; ; )♡連載頑張ってください〜！ (3月1日 16時) (レス) id: 2bd17039e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆゆゆ | 作成日時：2024年2月5日 0時
