お姫様からの接触 ページ9
軽音楽部の部室からガチャガチャと音が聞こえる。…アイツ、楽器すら雑に扱ってんの?本当にドラムできんの?そう思いながらコンコン、とドアをノックする。礼儀だから、一応ね。
「はーい。…って降流夜さん?何か用ですか?」
露骨に嫌そうな顔するな、この女。隠す気あるんだろうか。
「吉祥寺さんがドラムの練習するなら、運び出すの大変かと思って…手伝おうかと思ったんですけど。」
「あー…結構です。アタシ一人で充分なんで。」
「…吉祥寺さん、私のこと嫌いですか?」
「…は?」
吉祥寺愛海の声がワントーン低くなった気がする。
「だったら何?言っとくけど、アンタのこと好きな奴なんかいないと思うけど。スマイル君達は侍らせて、おじょーさま気分ですか?」
すーぐボロ出したな。
「…私のことそんな風に思ってたんですか?」
「事実でしょ?だから私はスマイル君達の目を覚まさせてあげるの。アンタが本当は最低なクソ女だって、バラしてあげる。」
本当にバカだな、この女。スマイル君達の目を覚まさせてあげる?スマイル君達が私のこの性格を知らないとでも思ってるんだろうか。…まあ、知らないのも仕方ないか。
「どうしてそんなこと言うんですか!?私、吉祥寺さんに何かしました…!?」
「そーゆーのがウザいって言ってんの!白々しい演技しちゃってさぁ…!」
…これ、もうちょっと煽ったら吉祥寺愛海の方から手出してきそうだな。
「そんなっ…私、そんなつもりじゃ…。」
わざとらしく涙を浮かべて、言葉に詰まる。これくらいしとけば…。
「だから…それが嫌われる要因ってわかんないのかなぁ!?」
ガッと髪の毛を掴まれる。あー、本当に痛いからやめてほしい。
「痛っ…!」
「どうせだからアンタの長い髪も切っちゃう?目障りなんだよねー、マジで。」
「や、やめて…。」
「一人でノコノコ出てきてさぁ…アンタが悪いんだからね。」
あーあ、調子乗りすぎだよ、吉祥寺愛海さん?
ガチャリと音を立てて開く軽音楽部部室のドア。
「…何してんだよお前。」
ドアの向こうには、殺意MAXのシャークん君。タイミングバッチリだ。
「あ…千雨、君…。」
吉祥寺愛海の手から力が抜け、私の体が床に崩れ落ちる。すぐさま私を抱き抱えると、シャークん君は吉祥寺愛海を睨む。
「…お前、Aに何してんだよ?」
「ち、違うの!私、その女に騙されて―――。」
「黙れよ。俺が質問したことにだけ答えろ。」
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作者名:さくらもち | 作成日時:2024年3月20日 17時