【WT】きみは桜【kn】[完]

後日談：青空の隣り ページ26

なかむ視点

✼ 🫧 ✼





最近、ゲームをやっている時のきんときが少しふわふわしているなぁとはちょっと感じていた。

まぁ俺も忙しかったから、プライベートの話まで聞くことは無かったし。
調子悪いとかそういうのではないから、特に突っ込んだりはしていなかったんだけど……。







その日は都内でも桜が少し咲き始めて、ニュースでは開花宣言だなんだと騒いでいた日の午後のこと。
ワイテスタジオにぞろぞろと集まって撮影を終え、普段着に着替えて。
この後ご飯行くか？なんて帰り支度をしている時だった。



「あのさ……ちょっと皆に聞いて欲しい話があんだけど……」

「？どうした、きんとき。そんなに改まって」

「なかむ……皆も時間ある？少しなんだけどさ」



その、そわそわした様子の彼に、他のメンバーと顔を見合わせる。
立ち上がりかけた腰をもう一度全員が降ろしたところで、きんときが緊張した様子でぎゅっと両手を握った。

その指先に光るアクセサリーを目ざとく見つけたのはぶるーくだった。



「きんさん、その指輪……！」



それに全員の目線がそこに行く。

先程まではしていなかったから、撮影の時は外していたのだろうか。
そこにハマっている細身のシルバーのリングは、普段アクセサリーをつけないきんときにしては、確かに珍しいなぁとは思った。

きんときは少し焦ったように、それを隠しながら、照れた様子を見せる。



「うん……実は、彼女と婚約することになって……」

「……は？」

「ん？……え？？」

「ェヘｯ！？」

「うぉ！？いつの間に！？」



いきなりの仲間からの爆弾発言に皆がぽかんとしている。
良かった、状況が読めないのは俺だけではなかったみたいだ。

というか恋人がいたって話も聞いていなかったのに？
いきなりなんだってそんなことになっているのか。
いくらこの仲間たちが頭ワイているやつらだとしても、きんときはそういうのは慎重なタイプだと思ってたんだが……？

そんな俺らの混乱をよそに、1人だけ違う反応を見せるやつがいた。



「きんさーん！！！！え！まじ！？そこまでいったか！！おめでとぉおおおおおお！！」

「ありがとう。話は聞いたけど、ぶるーくのお陰だよ」

「ふふーん、お礼は2人がご飯奢ってくれる、でいいよ」

「分かった、伝えとく」




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