人外さんと【d！】 (ページ16)

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このまま静かに部屋に戻ろうか？きっとそれが一番安全で確実だ。部屋は安全だって相場で決まってるし。
誰にも気づかれないように音を立てないよう細心の注意を払い、最小限の動きで自室に戻ろうとする。しかしそれは無意味だった。

「あ、ニンゲン」

目つきの悪い金髪と遭遇した。服装はいかにもサッカー少年と言った感じだがそれが似合わない身長と体格。それなりに距離を保っているはずなのにタバコの匂いを強く感じた。
服装以外が怖すぎる。服でギャップ萌えでも狙っているのだろうか？だとしたら下手すぎる。突然の恐怖に怯えているとひどく明るくて、大きな声で彼は話した。

「うわ近くで見てもちっこいなあ！ちゃんと食ってっか？」
「えっ？はい、あ、食べてます」
「そーか！ここきたニンゲンな、だぁれも食ってくれへんねん」
「それは勿体無いですね…」
「せやろ？」

こえがでかい！あまりにも大きい。彼が話し始めてから視線を感じて余計辛い。しかし話し方も話の内容もどう考えても100%善意なのだから何も言えないし誰も突っ込まないのだからきっとこれが平常運転なのだ。
しばらく近所のおじさんのような不思議な助言と心配事を話され、思い出したかのように彼はコネシマと名乗った。

「あとなんか情報いる？」
「そんな軽いんですね」
「まあいつでも喰えるし」

冗談やって〜アハハ！と豪快に笑っているが何も笑えない。喰われる側の気持ちになったことはないのだろうか。それは人間も同じか…。本当に冗談で済む軽いノリで言っているのか本気で脅しに来ているのか、異国の文化に慣れていないせいで冗談通じないおもんないやつへと成り下がっている気がする。

「俺飯食ってくるわ！」
「あ、はい」

ばんばんと強い力で肩を叩かれそのままコネシマさんと別れた。本当になんなのだ。力加減も明らかに間違えていてびりびりと余韻を肩に感じる。
今日は災難…いや服可愛いし……いやトータルは災難…、のような気がする。もう部屋に篭って穏便に過ごしたいと決心し私は自室へと向かう足を進めた。

本当にここには様々な人がいる。
全てが不思議なしんぺい神さん、多分優しいゾムさん、どうみても陽キャのシャオロンさん、洞察力△のひとらんさん、かわいいマンちゃん、ダサい大先生、声がでかいコネシマさん。それから道端に倒れている人。

いやおかしい。どう考えても異常事態だ。慌てて倒れている人の元へ駆け寄るとなんだか肌が透けて見える。半透明の人外さんまでいるのか。